政府主導での「デジタルトランスフォーメーション(以下DX)」という動きの中で、IoTの導入が進んでいます。総務省の調査では、実に全国の60%の企業が業務プロセスに何らかのIoT技術を取り入れているというデータが出ています。
ただ、結局IoTって何なんだろう…こう思う人も多いですよね。
何となく言葉だけは知っているIoT、その中身は実際のところクラウド(雲)のようにつかみきれないものであることは確か。
そこで今回は、IoTの具体的な構成要素についてお伝えしていきます。
1.IoTを導入すると何ができるようになるのか
まずIoTを導入すると、できるようになることをみていきましょう。
IoTはDXの考え方に基づいて導入されていきます。DXとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念のことです。
IoTが導入されると、エアコンやテレビ、洗濯機、自動車やドローンまでがインターネットに接続されます。するとどのようなことが起こるかというと、あらゆるモノからデータの収集、蓄積ができるようになるのです。そのデータを活用し、例えばエアコンは適切な室内環境へ自動的に調整を、自動車は周辺の道路状況を考慮した自動運転が可能になっていきます。
2.IoTの構成要素を理解
それでは、いよいよDXを実現する技術の一つであるIoTを構成する要素を見ていきましょう。
IoTは大きく分けると以下の要素で成り立っています。
- 各種センサーやスマートフォンなどのデバイス
- ゲートウェイ
- サーバ
- パソコン
※できれば図で説明したいと考えています。
IoTは個々のデバイスがネットワークを介してサーバに接続し、データを蓄積。パソコンでその蓄積したデータを分析し、業務の最適化などに役立てていきます。センサーなどインターネットに接続できないデバイスは、ゲートウェイという機器を介してインターネットに接続します。
また、センサーと一口にいっても様々な種類があります。
- ジャイロセンサー:物体の回転を検知。陣号衛星やスマートフォン、デジカメなどに搭載
- イメージセンサー:画像を電気信号に変換できる。車載カメラやデジカメなどに搭載
- 音センサー:スマートフォンや録音機器などに搭載され、音波振動を計測
- 距離センサー:自動運転などで使用され、測定物の距離を計測
- 温度センサー:エアコンの温度調整などに使用
- 湿度センサー:エアコンの湿度調整などに使用
- 圧力センサー:血圧計やお風呂の水位測定などに用いられる。主に気体や液体などの圧力を測定
- 光センサー:光の強弱や有無を測定。受光だけのものと、受光と発光両方できるものがある
- 地磁気センサー:カーナビやスマホなどに搭載され、方角を認識するために地磁気を検知
- 加速度センサー:カーナビやエアバッグなどについていて、速度の変化を検知
他にもさまざまな種類のセンサーがあり、用途に応じて使用されています。スマートフォンには、イメージセンサーや音センサー、地磁気センサーなど複数のセンサーが搭載されているため、IoTを導入する場合もスマートフォンを用いる場面が多数あるのです。
例えば工場のポイントごとに発信機を取り付け、スマートフォンを作業員に持たせておけば、作業員の動きが記録され、無駄な動きがないかを後で確認可能。作業工具の配置や材料の配置を最適化し、作業時間の短縮に成功している工場が複数あります。
3.IoTの構築に必要な技術とは
IoTの構成要素について見てきましたが、これらの要素をただ並べただけではIoTの導入はできません。IoTシステムを構築するには、技術の組み合わせが必要です。ここでは、IoTにどのような技術が使われているか詳しくみていきましょう。
BLE(Bluetooth Low Energy)、RFID
IoTのようなセンサーを多数使用して作るネットワークを一般的に「センサーネットワーク」と呼び、一般的には無線通信が使用されます。現在、注目を浴びているのはBLE(Bluetooth Low Energy)やRFIDです。BLEはある程度の距離を置いてセンサー同士を通信させる場合に、RFIDは短距離でタグに格納された情報などを読み取る場合に使われることが多い技術です。
特にBLEに関しては、最近は更に広範囲の通信をカバーするLPWAと呼ばれる規格が登場し、IoTの導入を強力に後押ししています。
エッジデバイス
ただセンサーを測定対象に取り付けただけでは、当然ネットワーク通信はできません。センサーは通信機能を持たせることで、はじめてインターネットと通信可能となり、サーバにデータが蓄積されはじめます。このようにセンサーに通信機能を持たせ、IoTに活用できるようにしたデバイスを「エッジデバイス」と呼びます。スマートフォンなどもIoTの分野ではエッジデバイスの一種です。
データ解析ソフト
サーバに集められたデータは、データ解析用のソフトウェアを用いて分析されます。この分析した結果を業務に活かしていくのがIoT導入の目的です。データ解析の仕組みは一から構築するとなると途方もなく手間がかかりますが、クラウドIoTサービスなどを用いれば手軽にデータ解析ソフトを利用できます。また、徐々にAIを使ってデータを解析させる事例が増えてきているのも現状です。
AI
現在では大手IT企業が次々とAIのサービスをリリース。主にデータ解析にAIを使用することで、解析作業の効率化を図っています。
例えば、過去の天気データを読み取り、湿度や温度変化などにより局地的な天気を予測するシステムを構築することも可能です。
しかしながら、AIは創造的な作業が苦手で、必ずデータを大量に読み込ませて過去事例を学習させることが必要です。そのため、まだ使用できる用途は限定的であるといえます。
4.IoTを構築する時に考えるポイントとは
IoTシステムを導入する際には、IoTを使って何をしたいのか考えることがポイント。明確なビ
ジョンを持たないとIoTシステムを構築しても的外れなシステムになってしまいます。自社の課題とIoTで出来る事を踏まえたうえで導入を検討することが大事です。
5.IoTを実際に導入した事例
しかしながら、実際に完成されたIoTシステムを知らないことには、導入のイメージが湧かない事も事実です。そこで、ここでは過去にIoTを導入した事例を見ていきましょう。
IoTを自動車へ導入
距離センサーを搭載し、車間距離を自動調整するなどの効果を発揮しています。将来は障害物などのデータを収集し、障害物を自動的に避けるような自動運転や、走行データを収集することによるエネルギーを節約した運転が可能になるかもしれません。
IoTを家に導入
人を検知して自動で点灯・消灯するようなライトもIoTの導入といえるものです。他には、家の施錠の様子をスマホで確認して、未施錠であれば施錠。帰宅時刻を入力しておくと、1時間前からエアコンが始動し、帰宅するころには部屋を適温に調整などの機能が存在します。
また、家への侵入を検知して防犯カメラを作動させるなどの防犯機能も付加できます。
IoTを医療に導入
体調が悪くなったら、体温計や聴診器をスマートフォンと連携し、症例と照らし合わせるなどの機能が期待されています。また、リストバンド型の心拍系などを装着し、心拍数に異常があった場合は緊急通報するなどの機能も持たせられます。
IoTを工場へ導入
危険な場所には発信機を取り付けておき、人が近づくとスマホから警報を鳴らすようにしておけば事故を未然に防げます。また、心拍センサーやジャイロセンサーなどを作業員に携行させておけば、炎天下の単独作業などで倒れたとしても、すぐに発見できます。
IoTをオフィスへ導入
ネットワークカメラを導入することにより、長時間離席している人などを検知して注意を促すなど、勤務態度向上に役立てられます。また、人の動きを分析することにより、効率のよい動線を導き出すことも可能です。
6.まとめ
IoTの構造を理解することは、あなたの会社の業務課題を解決する第一歩です。IoTの利活用を検討されているなら、是非一度ジャンプシェアへお問い合わせください。