IoTは既に日本の6割に及ぶ企業が何らかの形で導入していると、総務省の「メールマガジン「M-ICTナウ」実装の進むAI・IoT」で記載されています。

この記事を読んでいただいている方の中には「うちの会社にもIoTを導入したい!」とお考えの方も多いと思います。しかし、「IoTで何をすればいいか実はよくわからない…」という方もまた多いのではないでしょうか。

そこで、今回はIoTについて、工場へどのように導入しているかの事例をお伝えしていきます。

1.IoTを工場へ導入する目的

まずは、IoTをなぜ工場へ導入する必要があるのか、その目的をお伝えしていきます。

最近は「スマート工場」という言葉を耳にする機会が増えてきています。スマート工場とは、工場自体をネットワークに接続し、生産性向上・品質一定化を図るもの。デジタルトランスフォーメーションの考え方に基づき、工場にもこのようなSociety5.0の流れが及んできています。この中で生み出されたのが、工場をスマート工場化し、少ない人員でも作業規模を維持できるようにするという考え方。この考え方を「Industry 4.0」と呼びます。

工場にとっては、生産性向上や製品品質の一定化は至上命題といってもよい事項のはずで、生産性向上・品質一定化を図れるならぜひ導入したいと考える方が多いでしょう。

この「スマート工場」の実現には、IoTの導入が必要不可欠。よって、IoTを工場へ導入する目的は、生産性向上・品質一定化であるといえます。

2.IoTを工場へ導入する際のメリットやデメリット

生産性向上・品質一定化を狙って導入するIoTですが、他にどのようなメリットやデメリットが存在するのでしょうか。詳しくみていきましょう。

2-1.メリット

現在の工場の状態を見える化できる

IoTを導入すると、作業機械や生産ラインのポイントごとにセンサーやビーコンを取り付けられるようになります。このセンサーやビーコンで機械や人の稼働状況をデータとして蓄積可能となるのです。例えば、機械がプレートに穴をあけるスピードが遅くなってきたことをIoTで検知できれば、それはドリルの交換時期。このようなメンテナンスタイミングの予知や故障検知などもしやすくなります。このことにより生産性向上・品質一定化に貢献していけます。

省エネの実現

工場では、日々膨大な量のエネルギーが消費されています。そのエネルギー使用状況をIoTによって管理・分析できるようになるのです。エネルギー使用状況を管理・分析するシステムを「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」と呼びます。

例えば、自社の工場が昼間に電力を大量消費していることがわかったとします。工場に蓄電池を導入済みであれば、電気料金が安い夜間に電力を充電しておき、ピークの昼間に放電することによって電気代を安くすることが可能。これを「ピークカット」と呼びます。

2-2.デメリット

導入のコストがかかる

まず、どのようなデータを採取してどのように分析・活用していくかを決めなければならず、最初の設計の段階でつまずく工場が多数。また、実際にスマート工場の考えを導入していくにはIoT要員の育成が必要不可欠です。導入ができたとしても、カメラやセンサー類などIoT機器の初期コストや設置コストは避けられない壁です。

IoT機器のメンテナンスが必要になる

無事IoT機器を導入できてスマート工場化できたとしても、通常の工場機械の整備に加えてIoT機器自体のメンテナンスも必要になります。IoT機器の故障を検知できる仕組みを何らかの形で準備しておかないと、データが収集できていなかった…などということに突然なりかねません。

3.IoTを工場へ導入した事例を解説!

導入時のメリットをどのように活用しているのか、また導入時のデメリットをどのように克服しているのか、すでにIoTを工場へ導入した事例をお伝えします。

3-1.沖電気工業株式会社

https://www.oki.com/jp/iot/doc/2016/16vol_02.html

沖電気工業株式会社では、工場へ導入する際の初期コストを抑えるために、920MHz帯の無線で通信できるIoT機器を導入。無線を使用することで工場内の無駄なケーブル工事費を削減しています。また、920MHz帯を通信に使用することで、既存の有線式センサー類や2.4GHz帯無線LANとも併存可能です。マルチホップ機能を使うことで、通信可能範囲にない機器にもデータを届けられます。

3-2.ビッグローブ株式会社

https://biz.biglobe.ne.jp/bl/palette_iot.html

ビッグローブ株式会社では、「Palette IoT」と呼ばれるクラウドのIoTサービスを展開。顧客のニーズに合ったセンサーを設置して、その情報をスマホからリアルタイムに閲覧できるようにしています。もちろんセンサーの稼働状況もわかりますので、故障したらすぐに気づけます。

4.IoTを工場へ導入する際の課題とは

デメリットを回避してもIoTを工場へ導入する際には、まだ課題が残っています。それは、「人材」や「セキュリティ」の分野。また結局のところ「費用」の部分は、どのようにして導入後にペイしていくかを十分に検討しなければならないのが現実です。

Tech Factoryの2018年6月会員調査レポート「インダストリアルIoT動向調査」によると、会員の52.2%がスマート工場化への取り組みをみせていますが、一方、残りの47.8%は「何もしていない」ということが浮き彫りとなりました。

スマート工場化を進められない理由は、「対応する技術者がいない」が38.3%、次いで「コストが高いから」が25.5%、「よくわからないから」が24.5%と続きました。

工場経営者にとっては、

  • 先進的なITの分野は理解しがたい部分が多い
  • 導入後の全体像がイメージしにくい
  • 技術者がいないので導入に踏み切りにくい

のが現状です。

5.IoTを実際に導入している工場の見学ができる

導入後の全体像の問題や、そもそもIoTがどのようなものであるかについては、目の前にものが無いとイメージしにくいのが現実。各社とも自社のIoT導入状況は後悔したくないものですが、見学を受け入れているところもあります。ここではスマート工場見学を受け入れている企業3社をお伝えします。

5-1.旭鉄工株式会社

朝日鉄鋼株式会社は、車のエンジン部品やブレーキ部品、トランスミッション部品など、車の部品全般を製造。この製造工程でIoTをうまく導入して日々の作業に役立てています。IoTについては「i Smart Technologies株式会社」を別に立ち上げ、工場のIoT化についてのサービスを対応。朝日鉄鋼本社工場やi Smart Technologiesオフィスなどを有料ながら見学対応受け付け中です。

5-2.JMACS株式会社

JMACS株式会社は産業用製品や部品の企画・製造・販売をする会社ですが、AIやIoTを駆使したソリューションパッケージも提供。自社の工場でも生産ラインの稼働状況表示や設備予知保全など、積極的なスマート工場化を推進しています。JMACSのホームページトップに工場見学の申し込みフォームが存在し、誰でも気軽に申し込めます。

5-3.ライト電業株式会社

ライト電業株式会社は、近年のスマート工場化に対応した工場トータルソリューションの提案や、制御機器販売を事業とする会社です。オムロン株式会社の販売店でもあり、中四国を中心に制御機器を提案しています。見学対象は兵庫県三田市にあるパトライト工場。今まで見えなった非作業時間を可視化するサービス「AirGRID」シリーズの稼働を見学できます。

上記3社以外にも見学を受け付けている工場が複数あるので、調べてみるとよいでしょう。

6.まとめ

IoTを工場に導入すれば、ある程度の生産性向上・品質一定化は望めます。しかし導入は簡単にできるものではなく、「費用」「人材」「セキュリティ」の3点で課題が存在しているのが現実です。この課題を打破するためには、ノウハウのある企業と組むことが大事です。

IoTを工場へ導入すること検討されているなら、是非一度ジャンプシェアへお問い合わせください

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