「IT導入補助金」をご存知でしょうか。経済産業省で採択され、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」として運用されている資金です。2019年度も3億円の予算が組まれ、条件に合致した企業へ分配されていきます。
もちろん、IoTを導入する際にIT導入補助金をもらえるなら、誰もがもらいたいと思いますよね。そこで、今回は、2019年度のIoT導入補助金情報についてお伝えします。
1.IoTに対する補助金とは
今回お伝えする補助金は、IoTのみを対象とした補助金ではなく、IT業界全体を対象とした「サービス等生産性向上IT導入支援事業」です。経済産業省が主導で実施しています。
2019年度のIoTも含めた補助金は、2019年4月12日に概要資料が公開されています。残念ながら当記事執筆時点で募集は既に締め切られていました。
しかしながら、毎年ほぼ同様の内容でIT導入補助金事業が展開されていることから、来年以降の申請に対する参考情報としてお伝えしていきます。
2.IoT補助金の対象者
今回お伝えするIoT補助金は、中小企業を対象としています。具体的な条件として、
- 補助対象となる事業者
- 補助対象となる事業
- 補助対象となるITツール
があります。
2-1.補助対象となる事業者
業種・組織形態 | 資本金 (資本額or出資総額) | 常勤従業員 | |
資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む) | 製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業※以下業種は除く・ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業 | 5,000万円 | 100人 | |
小売業 | 5,000万円 | 50人 | |
ゴム製品製造業※以下業種は除く・自動車タイヤ製造業・航空機タイヤ・チューブ製造業チューブ製造業) | 3億円 | 900人 | |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
上記以外の業種 | 3億円 | 300人 | |
その他の法人 | 医療法人、社会福祉法人 | – | 300人 |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) | – | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特定非営利活動法人 | – | 主たる業種に記載の従業員規模 |
上記表の内容以外にも
- 日本で事業を行う個人または法人
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行う
- 必要書類の提示
- 労働生産性の伸び率の向上について、3年後の伸び率1%以上、4年後の伸び率1.5%以上、5年後の伸び率2%以上の数値目標を作成
- IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間)等を事務局に報告
などの条件が存在します。また上記に当てはまるとしても、対象外となる企業もありますので、詳細は下記ページにて確認しましょう。
補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html
2-2.補助対象となる事業
補助対象となる事業は以下の通りです。
- 日本国内で実施される事業
- IT導入支援事業者が登録するITツールを導入する事業
※交付決定前に契約、導入等した事業については補助対象外
※ITツールとは、システム化が不十分な業務分野に導入されるソフトウェアと、関連するオプション、役務からなり、補助事業者の労働生産性向上に資するもの
2-3.補助対象となるITツール
あらかじめIT導入支援事業者が事務局に登録し、認定を受けたITツール
少し煩雑ですが、一つずつ条件をみて、自社のIoT事業がIT導入補助金の対象かどうか確認していきましょう。
3.IT補助金の申請に必要な手続きとは
続いて、自社のIoT事業がIT導入補助金を受け取るために必要な手続きをみていきます。事前にIT導入支援事業者に登録されているITベンダーやITサービス事業者からITツールの提案を受け、ITツールの選択と事前準備をしてから交付申請に臨む必要があります。
2018年度に補助金を受け取っていても2019年度も申請はできます。よって2019年度に申請が通っていたとしても恐らく2020年度も申請はできるものと予想されますので、積極的に申請していきましょう。
2019年度のIT導入補助金申請の概要は以下の通りです。
項番 | 対応内容 | 対応者 |
1 | マイページ招待 | IT導入支援事業者 |
2 | 招待メール受信 | 補助事業者 |
3 | マイページ開設 | 補助事業者 |
4 | 申請要件チェック | 補助事業者 |
5 | 経営診断結果確認 | 補助事業者 |
6 | 関連施策情報入力 | 補助事業者 |
7 | 必要書類受付 | 補助事業者 |
8 | 申請類型(AorB)選択 | 補助事業者 |
9 | 入力済み情報確認※入力ミスなどがあれば随時差し戻し | IT導入支援事業者 |
10 | 生産性計画値入力 | IT導入支援事業者 |
11 | ITツール情報入力 | IT導入支援事業者 |
12 | 第三者による確認※入力ミスなどがあれば随時差し戻し | 補助事業者 |
13 | 提出前最終確認※入力ミスなどがあれば随時差し戻し | 補助事業者 |
14 | SMSによる認証 | 補助事業者 |
15 | 事務局へ提出 | 補助事業者 |
ご覧いただければわかる通り、簡単な作業ではありません。公募要領ファイルと交付申請の手引きは下記URLからダウンロードできますので、参考にしてください。
補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html
4.IT補助金の上限額である450万円を受け取るには
IT導入補助金にはA類とB類が存在します。B類は最大450万円までの補助金を受け取り可能。A類とB類では以下の通り採択予定日など条件が異なりますので、注意が必要です。
項目 | A類 | B類 |
公募期間 | 5月27日(月)~6月12日(水) | 5月27日(月)~6月28日(金) |
採択予定日 | 6月下旬 | 7月下旬 |
補助上限額 | 150万円 | 450万円 |
補助下限額 | 40万円 | 150万円 |
補助対象経費区分 | ソフトウェア費、導入関連費 | |
補助率 | 1/2以内 | |
必要なプロセス数 | 2以上かつ、業務プロセスを1つ以上含むこと | 5以上かつ、業務プロセスを3つ以上含むこと |
効果報告 | 3回 | 5回 |
ここで「プロセス」という言葉が出てきましたが、IT導入補助金事業では、プロセスを以下の通り定めています。
申請をB類に該当させるためには、以下の「業務プロセス」の中から3つ以上、その3つ以外のすべてのプロセスから2つ以上選ぶことになります。
4-1.業務プロセス
- 1)顧客対応・販売支援
- 2)決済・債権債務・資金回収管理
- 3)調達・供給・在庫・物流
- 4)人材配置
- 5)業務固有プロセス(実行系)
- 6)業務固有プロセス(支援系)
- 7)会計・財務・資産・経営
- 8)総務・人事・給与・労務
4-2.効率化プロセス
- 1)自動化・分析
4-3.汎用パッケージ
- 1)汎用
また、申請が通った場合は「効果報告」を実施することになります。B類の効果報告の回数は「5回」と定められているため、2020年から2024年までに年1回ずつ5回の効果報告を実施します。具体的な対象期間と報告期間は以下の通りです。
対象類型 | 年度 | 事業実施効果報告対象期間 | 事業実施効果報告期間 |
A類 | 初年度 | 2019年4月1日~2020年3月末日 | 2020年4月以降~ |
2年度 | 2020年4月1日~2021年3月末日 | 2021年4月以降~ | |
3年度 | 2021年4月1日~2022年3月末日 | 2022年4月以降~ | |
B類 | 初年度 | 2019年4月1日~2020年3月末日 | 2020年4月以降~ |
2年度 | 2020年4月1日~2021年3月末日 | 2021年4月以降~ | |
3年度 | 2021年4月1日~2022年3月末日 | 2022年4月以降~ | |
4年度 | 2022年4月1日~2023年3月末日 | 2023年4月以降~ | |
5年度 | 2023年4月1日~2024年3月末日 | 2024年4月以降~ |
5.まとめ
IT導入補助金は、特定の条件に合致した中小企業がITシステムを導入する際に交付される、最高450万円の補助金です。うまくB類に分類されるよう申請すれば、最高額である450万円の交付を受けられる可能性があります。
しかしながらIoT補助金申請は煩雑な手順が多く、スムーズな申請にはある程度の知識が必要となるため、初心者は調査や申請に時間がかかるのは事実。また申請を誤っても修正を受け付けてもらえなくなる場合や、そのまま落選してしまう場合もあります。
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